株取引の方法を解説!


株価チャートの乖離率の見方

短期売買向きのテクニカル指標にはいろいろなものがありますが、乖離率(かいりりつ)はその中でも比較的シンプルで、良く使われています。乖離率は、株の買われ過ぎ、売られ過ぎを判断する際に、グランビルの買い法則4と組み合わせて利用します。株の買われ過ぎ、売られ過ぎの状態は「株価の行き過ぎ」と言われます。

乖離率とは、株価が移動平均線からどれだけ離れているかを表す指標です。次の式で計算します。

p82.jpg例えば、ある日の株価が520円で、その日の25日移動平均が500円だったとしましょう。この場合、25日移動平均からの乖離率は次のように計算し、4%になります。

p83.jpg株価が移動平均と同じ値だと、乖離率はOになります。株価が移動平均より高いと、乖離率はプラスの値になります。そして、株価が移動平均より低いと、乖離率はマイナスの値になります。

株価が上昇傾向の時は、株価は移動平均線の上に位置することが多くなるので、乖離率もプラスの値になることが多くなります。逆に、株価が下落傾向の時は、株価は移動平均線の下にあるので、乖離率はマイナスの値になります。

次の図は、日経平均株価の週足チャートに、13週移動平均線と、そこからの乖離率を入れた例です。乖離率は株価と値の範囲が異なり、また単位も違うので、株価とは別に表示しています。
p84.jpg2003年5月頃~2004年5月頃は、日経平均株価はおおむね上昇トレンドですが、その間、株価はほぼ移動平均線の上にあるので、乖離率もプラスの値になっています。また、2004年5月頃~2004年末頃は株価は保ち合いで、移動平均線の上に出たり下に出たりしているので、乖離率もプラスになったりマイナスになったりしています。

乖離率を表示できるチャートは、ケンミレ株式情報や日経スマートチャートなどで見ることができます。


乖離率を使って、売買のタイミングを判断することもできます。

●乖離率が大きな値をとるタイミングを狙う
株価は日々上下しますが、移動平均線から極端に離れることはそう多くありません。そのようなことが起こるのは、何らかの理由で株価が急騰(急落)するときだけです。

ただし、そういった急騰(急落)はいつまでも続くことはなく、比較的短期間で収束するのが普通です。つまり、急騰していたのであれば、そのあとに急落し、また急落していたのであれば、そのあとに大きく反発することが多くなります。これは、グランビルの法則でも出てきました。

株価が急騰して移動平均線から大きく上に離れると、乖離率がプラスの大きな値になります。そこで「乖離率が大きくプラスになっていれば、株価が上がり過ぎているので、そのあとは株価が下がる確率が高い」と考えて、売りのタイミングと判断します。

p85.jpg逆に、株価が移動平均線から大きく下に離れたときは、乖離率はマイナスの大きな値になります。そこで「乖離率が大きくマイナスになっているときは、株価が下がり過ぎで、そのあとに上がる確率が高い」と考えて、買いのタイミングと判断します。

p86.jpgでは、「乖離率が大きくプラス(マイナス)」の「大きく」はどのように判断すれば良いでしょうか? これは、過去数年ぐらいの範囲でその銘柄の乖離率のチャートを描いてみて、乖離率がどのぐらいの範囲に分布しているかを見て判断します。

例えば、過去数年の乖離率の動きを見て、おおむね土15%以内で動いている場合は乖離率が-15%を下回ったら下がりすぎなので買い」「乖離率が十15%を上回ったら上がり過ぎなので売り」のように判断します。

●乖離率で判断する場合の注意
乖離率がプラスの大きな値をとるのは、上昇トレンドの中で急騰する時です。株価が大きく上がったあとでいったん下がり、しばらく落ち着くと、再度株価が上がりだすこともあります。その場合は、移動平均線等を使って、買いのタイミングを探すようにします。

逆に乖離率がマイナスの大きな値をとるのは、下落トレンドの中で急落する時です。この場合は、下げからの反発が短期間で終わることもよくあります。したがって、「乖離率がマイナスの大きな値になった」という理由で買う場合は、短期決戦と割り切って、ある程度値上がりしたらすばやく売る方が無難です。

さらに、乖離率がマイナスの大きな値をとっているからといって買うと、そのあとに株価がさらに下落することもありえます。特に、その銘柄特有の悪材料で株価が下がっているときは、大きく下げたあとにもほとんど反発せずに、ずるずると下げ続けることもあり得ます。そのような銘柄は、買わないようにしましょう。

●値勣きの激しい銘柄は避ける
値動きの激しい銘柄は、予想外の高値/安値をつけることがあります。そのため、乖離率の分布も不規則になりがちで、乖離率で売買タイミングを判断するのは非常に難しくなります。

そのような銘柄は、乖離率で売買タイミングを判断するのに向いていないので、避けるようにしましょう。


次の図は、2004年1月~2005年3月のトヨタ自動車の日足チャートに、25日移動平均線と、そこからの乖離率を入れたものです。

このチャートを見ると、株価が短期的な安値をつけるときには、乖離率が-4%程度になる傾向が見えます(図中で実線の四角で囲んだ位置)。したがって、乖離率が-4%を割り込んだら買って値上がりを待ち、短期間で少しずつ儲けていくという戦略が取れます。

これに対して2004年6月頃までは、乖離率が+6%程度になると高値をつける傾向が見えます(図中で点線の四角で囲んだ位置)。したがって、乖離率が+6%を超えたら売るという戦略を立てることが考えられます。

ただし、2004年7月以降は株価が下落傾向になり、移動平均線から上に離れることが少なくなっています。そのため、乖離率が+6%まで上がる前に株価が値下がりするようになっています。
p87.jpgこのように、株価の動く傾向は常に変化していくので、同じ戦略をいつまでもとり続けることはできません。それまでと株価の動く傾向が変わったら、戦略を考え直すことが必要です。


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