株取引のリスクを抑える方法
株を買ってそれが常に値上がりすれば、何も言うことはありません。しかし、常に値上がりすることはあり得ず、値下がりする危険性もあります。そのため、貯蓄や国債に比べて、株はリスクが大きい商品です。
経験を積んで、銘柄や売買タイミングを見分ける能力が上がれば、値下がりに遭遇する確率は減ります。しかし、その確率をOにすることは不可能です。株で長く儲け続けていくためには、「株価が値下がりしたときにどう対処するか」ということが非常に重要です。思惑が外れて株価が値下がりしてしまったら、潔く失敗を認めて、その株は手放して損失を確定することが必要です。これを「損切り」(そんきり)と呼びます。
ただし、株価は日々変動するので、買値からほんのちょっと値下がりすることは、頻繁に起こります。そのたびに損切りしていては、売買の回数が増えすぎて手数料がかさみ、儲けることができません。かといって、大幅に値下がりしてから損切りしていては、もはや手遅れになってしまいます。
一般的には、「株価が買値から10%値下がりしたら損切りする」のが良いと言われています。例えば、1株1,000円で買った場合だと、株価が900円を切ったら損切りするようにします。
また、損切りを的確に行いつつ、利益を伸ばしていくには、すでに何回か名前が出てきた「逆指値」という注文方法を利用すると便利です。逆指値を便うと、株価がある値段を下回った時点で自動的に損切りしたりすることができます。
経験を積んで、銘柄や売買タイミングを見分ける能力が上がれば、値下がりに遭遇する確率は減ります。しかし、その確率をOにすることは不可能です。株で長く儲け続けていくためには、「株価が値下がりしたときにどう対処するか」ということが非常に重要です。思惑が外れて株価が値下がりしてしまったら、潔く失敗を認めて、その株は手放して損失を確定することが必要です。これを「損切り」(そんきり)と呼びます。
ただし、株価は日々変動するので、買値からほんのちょっと値下がりすることは、頻繁に起こります。そのたびに損切りしていては、売買の回数が増えすぎて手数料がかさみ、儲けることができません。かといって、大幅に値下がりしてから損切りしていては、もはや手遅れになってしまいます。
一般的には、「株価が買値から10%値下がりしたら損切りする」のが良いと言われています。例えば、1株1,000円で買った場合だと、株価が900円を切ったら損切りするようにします。
また、損切りを的確に行いつつ、利益を伸ばしていくには、すでに何回か名前が出てきた「逆指値」という注文方法を利用すると便利です。逆指値を便うと、株価がある値段を下回った時点で自動的に損切りしたりすることができます。
株は値下がりするリスクがあります。そして、そのリスクをできるだけ抑えるためには、損切りを的確に行うことが必要です。しかし、損切りさえしていればリスクを抑えられるのかというと、そうではありません。損切りと並んで重要なこととして、「値動きのぶれを小さくする」ことが挙げられます。
一般的なイメージでは、株の「リスク」というと値下がりする危険性を指します。投資理論の世界でも一般的な意味で「リスク」という言葉を使うことはありますが、実は、この言葉は投資の世界では「値段のぶれの大きさ」というような意味合いで使われることが多いのです。「不確実性」と言うこともできます。
例えば、下図のように2つの株があって、最終的には同じ株価まで値上がりしたものとします。ただし、A株は株価の変動は穏やかで、ぶれは小さいものです。一方、もう1つのB株は株価が激しく変動していて、ぶれが大きくなります。この場合、「B株はA株よりリスクが高い」ことになります。前述したように、リスク=値段のぶれの大きさなので、B株の方がリスクが高いことになります。また、B株の方がより不確実であるとも言えます。
投資理論の世界では、「リスクを抑える」ということは、「ぶれを抑える」ことを指します。つまり、次の図にあるA株のように、資金全体の値動きのぶれをできるだけ穏やかにするのが、リスクを抑えることにつながります。
値動きのぶれが小さくなれば、買値を大幅に下回ることも少なくなります。つまり、値動きのぶれを小さくすることは、一般的に言われるリスク(値下がりの危険性)を抑えることにもつながります。
一般的なイメージでは、株の「リスク」というと値下がりする危険性を指します。投資理論の世界でも一般的な意味で「リスク」という言葉を使うことはありますが、実は、この言葉は投資の世界では「値段のぶれの大きさ」というような意味合いで使われることが多いのです。「不確実性」と言うこともできます。
例えば、下図のように2つの株があって、最終的には同じ株価まで値上がりしたものとします。ただし、A株は株価の変動は穏やかで、ぶれは小さいものです。一方、もう1つのB株は株価が激しく変動していて、ぶれが大きくなります。この場合、「B株はA株よりリスクが高い」ことになります。前述したように、リスク=値段のぶれの大きさなので、B株の方がリスクが高いことになります。また、B株の方がより不確実であるとも言えます。
投資理論の世界では、「リスクを抑える」ということは、「ぶれを抑える」ことを指します。つまり、次の図にあるA株のように、資金全体の値動きのぶれをできるだけ穏やかにするのが、リスクを抑えることにつながります。
値動きのぶれが小さくなれば、買値を大幅に下回ることも少なくなります。つまり、値動きのぶれを小さくすることは、一般的に言われるリスク(値下がりの危険性)を抑えることにもつながります。
株式投資のリスクを抑える上では、「分散投資」がもっとも基本になります。まずは、この分散投資について学びます。
●集中投資はリスクが大きい
「株で失敗した人」の例で、「1つの銘柄に資金を集中的に投資していた」というような話をしました。
1つの銘柄に集中投資した場合、その会社に何か良いニュースが出れば、株価が大きく上がって儲けることができます。しかし、逆に悪いニュースが出ると、株価が大幅に値下がりしてしまい、大きく損失を受ける恐れがあります。
このように、1つの銘柄に集中投資すると、株価の変動を大きく受けやすくなり、資金が非常に不安定になります。あとで学びますが、資金が不安定になると、ある一時期は大きく儲かることがあっても、長い目で見ると儲かりにくいという問題があります。
●分散投資でリスクを抑える
これに対して、1つの銘柄に資金を集中投資せずに、複数の銘柄に分散して投資する方法もあります。分散投資をした場合は、その中の1社の株価が大きく変動したとしても、資金全体の変動は抑えられます。
例えば、A社1社に100万円を投資して、その株価が半分になってしまうと、100万円の資金が50万円に減ってしまいます。一方、A~Eの5社に20万円ずつ投資して、A杜の株価が半分になり、残りの株価は変わらなかったとすると、資金は90万円に減るだけで済みます。
●値動きが異なる銘柄に分散投資する
分散投資にはリスクを軽減する動果がありますが、闇雲に分散投資すればよいというものでもありません。「できる限り、値動きが異なる銘柄に分散して投資する」ということが重要です。また、もっとも良いのは、「値動きが遂になる銘柄を組み合わせる」という方法です。
値動きが遂になる銘柄を組み合わせると、片方が上がると片方が下がるという動きになり、上げと下げが打ち消しあって、値動きが穏やかになります。したがって、リスクを軽減することができます。
ただし、株式市場の各銘柄は、先に学んだように全体的に似通った動きになりやすくなります。そのため、値動きが遂になる組み合わせというのは、まず存在しません。そこで、「値動きの関連性が薄い銘柄を組み合わせる」という手法をとります。具体的には、「複数の異なる業種から銘柄を選ぶ」ようにします。
1つの業種だけから銘柄を選んだ場合、それらの各銘柄が景気などから受ける影響は、ほぼ同じになると思われます。その結果、値動きも似たような感じになってしまい、分散投資の効果がほとんど出なくなってしまいます。
これに対して、業種を分散すれば、ある程度は値動きに違いが出てくるので、分散投資の効果が出やすくなります。業種によって、景気の影響を受けやすいところと受けにくいところがあるので、それらを組み合わせると良いでしょう。景気の影響を受けやすい/受けにくい業種としては、次の表のようなものがあります。
なお、景気の影響を受けにくい銘柄のことを、「ディフェンシブ銘柄」と呼びます(ディフェンシブ=防御的)。
●市場に分散投資するのと同じ働きをするETFを利用する
ETFは「Exchange Traded Fund (エクスチェンジ・トレーディッド・ファンド)」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。 ETFは日経平均株価などの指数に連動して株価が動く商品で、市場全体に分散投資するのと同じ働きをします。このため個別銘柄に比べると値動きが穏やかです。指数に連動するので分かりやすく、取引所の立会時間中はいつでも売買できます。
このように、リスクが小さいETFは、短期間で利益を求めるよりは中期的な投資に向いた商品と言えます。
●集中投資はリスクが大きい
「株で失敗した人」の例で、「1つの銘柄に資金を集中的に投資していた」というような話をしました。
1つの銘柄に集中投資した場合、その会社に何か良いニュースが出れば、株価が大きく上がって儲けることができます。しかし、逆に悪いニュースが出ると、株価が大幅に値下がりしてしまい、大きく損失を受ける恐れがあります。
このように、1つの銘柄に集中投資すると、株価の変動を大きく受けやすくなり、資金が非常に不安定になります。あとで学びますが、資金が不安定になると、ある一時期は大きく儲かることがあっても、長い目で見ると儲かりにくいという問題があります。
●分散投資でリスクを抑える
これに対して、1つの銘柄に資金を集中投資せずに、複数の銘柄に分散して投資する方法もあります。分散投資をした場合は、その中の1社の株価が大きく変動したとしても、資金全体の変動は抑えられます。
例えば、A社1社に100万円を投資して、その株価が半分になってしまうと、100万円の資金が50万円に減ってしまいます。一方、A~Eの5社に20万円ずつ投資して、A杜の株価が半分になり、残りの株価は変わらなかったとすると、資金は90万円に減るだけで済みます。
●値動きが異なる銘柄に分散投資する
分散投資にはリスクを軽減する動果がありますが、闇雲に分散投資すればよいというものでもありません。「できる限り、値動きが異なる銘柄に分散して投資する」ということが重要です。また、もっとも良いのは、「値動きが遂になる銘柄を組み合わせる」という方法です。
値動きが遂になる銘柄を組み合わせると、片方が上がると片方が下がるという動きになり、上げと下げが打ち消しあって、値動きが穏やかになります。したがって、リスクを軽減することができます。
ただし、株式市場の各銘柄は、先に学んだように全体的に似通った動きになりやすくなります。そのため、値動きが遂になる組み合わせというのは、まず存在しません。そこで、「値動きの関連性が薄い銘柄を組み合わせる」という手法をとります。具体的には、「複数の異なる業種から銘柄を選ぶ」ようにします。
1つの業種だけから銘柄を選んだ場合、それらの各銘柄が景気などから受ける影響は、ほぼ同じになると思われます。その結果、値動きも似たような感じになってしまい、分散投資の効果がほとんど出なくなってしまいます。
これに対して、業種を分散すれば、ある程度は値動きに違いが出てくるので、分散投資の効果が出やすくなります。業種によって、景気の影響を受けやすいところと受けにくいところがあるので、それらを組み合わせると良いでしょう。景気の影響を受けやすい/受けにくい業種としては、次の表のようなものがあります。
なお、景気の影響を受けにくい銘柄のことを、「ディフェンシブ銘柄」と呼びます(ディフェンシブ=防御的)。
●市場に分散投資するのと同じ働きをするETFを利用する
ETFは「Exchange Traded Fund (エクスチェンジ・トレーディッド・ファンド)」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。 ETFは日経平均株価などの指数に連動して株価が動く商品で、市場全体に分散投資するのと同じ働きをします。このため個別銘柄に比べると値動きが穏やかです。指数に連動するので分かりやすく、取引所の立会時間中はいつでも売買できます。
このように、リスクが小さいETFは、短期間で利益を求めるよりは中期的な投資に向いた商品と言えます。
買う銘柄を分散することはリスクを抑えるうえで非常に重要ですが、そのほかに買う「時期」を分散する方法もあります。
●定期的に一定株数ずつ買う
株価は上がったり下がったりしますが、複数回(例えば毎月)に分けて買うと、買値がある程度平均化します。そのため、「高い値段でばかり買ってしまう」ということを避けることができます。
例えば、ある株の株価が図のグラフの実線のように変動したとしましょう。そして、この株を毎月1,000株ずつ買っていったとします。すると、平均の買値は図のグラフの点線のように安定していきます。2月に高く買ってしまっても4月には安く買えたので、平均するとあまり買値が変わらなくなるわけです。
●ドルコスト平均法
買う時期を分散する方法として、「ドルコスト平均法」というものも有名です。 ドルコスト平均法は、一定の株散ずつ買うのではなく、一定の金額ずつ買っていく方法です。例えば、「A社の株を毎月10万円ずつ買う」というようにするわけです。
ドルコスト平均法を使うと、同じ株数ずつ買う場合に比べて、平均買値がより下がるという特徴があります。株価が高いときには少ない株数を買い、安いときに多くの株数を買うことになるので、平均買値が下がるわけです。ただし、日本では単元株の制限があるので、通常の買い方では、ドルコスト平均法で株を買っていくことはできません。しかし、なるべく買う金額が均等になるようにして、ドルコスト平均法に近づけると良いでしょう。
●定期的に一定株数ずつ買う
株価は上がったり下がったりしますが、複数回(例えば毎月)に分けて買うと、買値がある程度平均化します。そのため、「高い値段でばかり買ってしまう」ということを避けることができます。
例えば、ある株の株価が図のグラフの実線のように変動したとしましょう。そして、この株を毎月1,000株ずつ買っていったとします。すると、平均の買値は図のグラフの点線のように安定していきます。2月に高く買ってしまっても4月には安く買えたので、平均するとあまり買値が変わらなくなるわけです。
●ドルコスト平均法
買う時期を分散する方法として、「ドルコスト平均法」というものも有名です。 ドルコスト平均法は、一定の株散ずつ買うのではなく、一定の金額ずつ買っていく方法です。例えば、「A社の株を毎月10万円ずつ買う」というようにするわけです。
ドルコスト平均法を使うと、同じ株数ずつ買う場合に比べて、平均買値がより下がるという特徴があります。株価が高いときには少ない株数を買い、安いときに多くの株数を買うことになるので、平均買値が下がるわけです。ただし、日本では単元株の制限があるので、通常の買い方では、ドルコスト平均法で株を買っていくことはできません。しかし、なるべく買う金額が均等になるようにして、ドルコスト平均法に近づけると良いでしょう。
株をやり始めると、誰しも「大勝ち」を夢見るのではないでしょうか。しかし、大勝ちを狙うと、リスクが大きくなってしまい、かえって資金が減りやすくなります。その理由は次のとおりです。
●大勝ちを狙うとリスクが大きくなる
株を買った後で、その株が何十倍何百倍にも値上がりすれば、大勝ちすることができます。市販の株関係の本を見ると、そういう銘柄がたくさんあるかのような活かよく出ています。しかし、そんな銘柄にめぐり合う確率は、ほとんどOだと言っても過言ではありません。
新興企業の株を買えば、うまくいけば何十倍にもなる可能性があります。しかし、逆に会社が持たずに倒産して、株価がOになってしまうこともあります。また、会社が大きく成長するまでには時間がかかり、その間に株価が激しく揺れ動くこともよくあります。
また、「仕手株」を買うと、うまくいけば短期間で株価が数倍になることもあります。「仕手」とは、能や狂言の用語で、「主役」を表します。そこから転じて、株価を吊り上げるような情報を流して、買い占めておいた株を高値で売り抜けようとするような人のことを、「仕手」と呼んでいます。
仕手株は派手な値動きをするので、あとになって株価の動きだけを見ると、「こんな株ならすぐに大儲けできそうだ」と思えるかも知れません。しかし、仕手化する銘柄はたいていは業績や財務に不安があるもので、なかなか買えるものではありません。さらに、仕手化している時点では、株価の上がり下がりが非常に激しく、持ち続けるのも非常に難しいものです。
●大損しても大勝ちすれば良いのでは?
このように、大勝ちを狙おうとすると、リスクがかなり大きくなってしまい、大損することも出やすくなります。ただし、「いくら大損しても、大勝ちして取り返せば良いのでは?」と思われる方もいることでしょう。
確かに、大損しても、それをはるかに上回る大勝ちをすれば、最終的には大きく儲けることができます。しかし、そんな大勝ちはめったにめぐってくることはありません。大損と大勝ちを繰り返すよりも、むしろコンスタントに勝ちを積み上げていく方が、長い目で見た場合、普通は儲かります。例えば、2年間投資をして、以下のような3つの結果が出たものとします。また、1年目で出た儲けは、2年目に再投資する(儲けも株を買うのに役人する)ものとします。
①1年目/2年目とも、年10%ずつ儲かった
②1年目は年20%儲かったが、2年目は儲けはゼロだった
③1年目は年40%儲かったが、2年目は年20%損した
一見すると、③がもっとも儲かりそうな気がするのではないでしょうか。「1年目に40%も儲けたのだから、2年目に20%ぐらい損をしても、まだ儲けが多く残っているだろう」と思われるかも知れません。しかし、実際には①がもっとも儲かり、③がもっとも儲けが少なくなります。仮に、最初に100万円投資したとして、①~③のそれぞれの資金の動きを計算してみると、次の表のようになります。①は21万円の儲けですが、③は12万円しか儲かっていません。
また、①~③の儲け方のパターンが長期間にわたって続くとすると、どうなるでしょうか?実際に計算してグラフにしてみると、次の図のようになります。①と③とで大差がついていることが分かります。利益を再投資すると、その利益がさらに利益を呼んで、資金が大きく増えます。これを「複利効果」と呼びます。
ところが、大勝ち/大損を繰り返すと、損失にも複利効果が働いてしまい、損失のたびに資金が大きく減ってしまいます。その結果、先の図のグラフの③のように、長期的には資金が増えなくなります。
このように、株で長く儲け続けていくには、大勝ち/大損を繰り返すのではなく、コンスタントに儲け続けていくことが、非常に重要なポイントです。
●大勝ちを狙うとリスクが大きくなる
株を買った後で、その株が何十倍何百倍にも値上がりすれば、大勝ちすることができます。市販の株関係の本を見ると、そういう銘柄がたくさんあるかのような活かよく出ています。しかし、そんな銘柄にめぐり合う確率は、ほとんどOだと言っても過言ではありません。
新興企業の株を買えば、うまくいけば何十倍にもなる可能性があります。しかし、逆に会社が持たずに倒産して、株価がOになってしまうこともあります。また、会社が大きく成長するまでには時間がかかり、その間に株価が激しく揺れ動くこともよくあります。
また、「仕手株」を買うと、うまくいけば短期間で株価が数倍になることもあります。「仕手」とは、能や狂言の用語で、「主役」を表します。そこから転じて、株価を吊り上げるような情報を流して、買い占めておいた株を高値で売り抜けようとするような人のことを、「仕手」と呼んでいます。
仕手株は派手な値動きをするので、あとになって株価の動きだけを見ると、「こんな株ならすぐに大儲けできそうだ」と思えるかも知れません。しかし、仕手化する銘柄はたいていは業績や財務に不安があるもので、なかなか買えるものではありません。さらに、仕手化している時点では、株価の上がり下がりが非常に激しく、持ち続けるのも非常に難しいものです。
●大損しても大勝ちすれば良いのでは?
このように、大勝ちを狙おうとすると、リスクがかなり大きくなってしまい、大損することも出やすくなります。ただし、「いくら大損しても、大勝ちして取り返せば良いのでは?」と思われる方もいることでしょう。
確かに、大損しても、それをはるかに上回る大勝ちをすれば、最終的には大きく儲けることができます。しかし、そんな大勝ちはめったにめぐってくることはありません。大損と大勝ちを繰り返すよりも、むしろコンスタントに勝ちを積み上げていく方が、長い目で見た場合、普通は儲かります。例えば、2年間投資をして、以下のような3つの結果が出たものとします。また、1年目で出た儲けは、2年目に再投資する(儲けも株を買うのに役人する)ものとします。
①1年目/2年目とも、年10%ずつ儲かった
②1年目は年20%儲かったが、2年目は儲けはゼロだった
③1年目は年40%儲かったが、2年目は年20%損した
一見すると、③がもっとも儲かりそうな気がするのではないでしょうか。「1年目に40%も儲けたのだから、2年目に20%ぐらい損をしても、まだ儲けが多く残っているだろう」と思われるかも知れません。しかし、実際には①がもっとも儲かり、③がもっとも儲けが少なくなります。仮に、最初に100万円投資したとして、①~③のそれぞれの資金の動きを計算してみると、次の表のようになります。①は21万円の儲けですが、③は12万円しか儲かっていません。
また、①~③の儲け方のパターンが長期間にわたって続くとすると、どうなるでしょうか?実際に計算してグラフにしてみると、次の図のようになります。①と③とで大差がついていることが分かります。利益を再投資すると、その利益がさらに利益を呼んで、資金が大きく増えます。これを「複利効果」と呼びます。
ところが、大勝ち/大損を繰り返すと、損失にも複利効果が働いてしまい、損失のたびに資金が大きく減ってしまいます。その結果、先の図のグラフの③のように、長期的には資金が増えなくなります。
このように、株で長く儲け続けていくには、大勝ち/大損を繰り返すのではなく、コンスタントに儲け続けていくことが、非常に重要なポイントです。